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<Vol.76 MJビジネス寄稿>ミャンマーにおける乳製品市場の概況

~普及のカギはミャンマー人の節約・節電意識の変化から~

2019.10.5

Director 瀧波 栄一郎

サマリー

1.タイなどからの輸入品が席捲するミャンマーの乳製品市場

ヤンゴンのスーパーの乳製品コーナーを訪ねるとWalcoなど地場大手乳製品メーカーに加え、日本では馴染みのない長期常温保存が可能なUHT牛乳(ロングライフ)が売られている。これらは豪州、タイなど海外からの輸入品で国内の需要全体の約70%程度を占めている。日系では唯一明治グループが牛乳などをタイ拠点からミャンマーへ輸出している。

全体に高価格な輸入品が多く一般家庭にとっては贅沢品ともいえる。乳製品は金額規模だけでみると加工食品の中では、菓子類、袋麺類などを抑えて最大の市場規模(約360百万USD)という調査結果もある。脆弱なインフラと生産技術の課題を如何に乗り越えて、15%の成長で拡大する乳製品需要を捉えるのかがミャンマー企業にとっての事業機会であり急務である。

 

2. 地場系企業は近年投資拡大を実施・検討、日系との技術提携ニーズも大きい

弊社では多業種のミャンマー企業の経営・新規事業責任者と接触する機会が多いが、乳業分野については、専業メーカーだけでなく財閥系グループも近年強い関心をみせる。担当者の話に依れば、過去に投資を検討するも市場の小ささを理由に断念していたが、近年は、①ヤンゴンを中心としたホワイトカラー中間層の形成 ②コンビニ・スーパーの近代小売の増加 ③健康志向の高まりから、乳製品需要拡大を商機と捉え、周辺国で技術供与を行い地場と共に産業を育成してきた日系乳業メーカーとの提携にも強い関心を寄せている。弊社でもミャンマーの業界団体や地場・外資企業の間に入り連携強化の支援を行っている。

 

3. 更なる市場拡大にはミャンマー人の過度な節電習慣をいかに変えられるか

乳製品の日系代表格であるヤクルトが、ミャンマーでの販売を本年8月より開始。

ヤクルトレディがヤンゴンの街中を駆け回る。


早速ヤクルトを弊社社員に配ったところ、20代からは味・パッケージの好感度、30代以降の世代からは健康効果での評判が高く、今後のポテンシャルの高さが伺える。伴い乳製品メーカーにとっての課題は、製品プロモーションに加えミャンマー人の節電習慣をいかに変化させられるかではないだろうか。

電気代は販売店や中間層以下にとって負担が重く、パパママストアでは夜間、家庭では日中不在時に電源元までを消すことが一般化1している。今後販売会社としては、インフラ面も整えながら販促を行う必要があるだろう。例えば、冷蔵装置の無償提供や電気代を一部補填することも検討できる。

日本人からは想像ができないほどの過度な節電習慣が根付いている現況を積極的に変えていかなければならないのである。

(おわり)

 

 瀧波栄一郎(Director)

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