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<Vol.75 MJビジネス寄稿>ミャンマーにおける縫製業界の現状と展望

2019.8.21

Director 瀧波 栄一郎

サマリー

1. 縫製品輸出が急拡大。H&Mなどのグローバルブランドも既に生産を行う。

近年ミャンマーの縫製品輸出が活発だ。2018年は前年から2倍近く伸び、45億USD(図1)とミャンマーの業界団体が目標としていた「2020年までに50億USDの輸出」を2019年には前倒しで達成することが所期される。EUがミャンマー産縫製品の最大市場との認知は正しいが、単一国でみれば日本が最大の輸出先だ。

既に大手アパレルブランドはミャンマーで製造を行っている。最終的な加工は、中国、ベトナムなど他国で行うケースも多く、最終製品にはミャンマー産と表示されないことも多いが既にH&M、Adidas、GAPなどはミャンマーをサプライチェーンに組み込んでいる。

 

2. ミャンマー縫製メーカーがリスクをとり、単純委託加工からの脱却を実現できるか。

ミャンマーの縫製品業界ではCMP(委託加工)方式による生産が一般的であり、今後も安価な人件費をメリットにCMP方式での輸出拡大が続くだろう。しかし、それだけではいつまで経ってもミャンマー企業側の利益率が低いままである。CMP業務だけでは、縫製品コストの約8~10%程度しか利益を得られないとされる。ミャンマーのメーカーとしては、輸出で蓄えたキャッシュをもとに、自社で在庫リスクを抱え、材料調達から顧客開拓までを行うFOB方式に切り替える必要がある。2015年頃は5社しかFOB企業がなかったが、近年で改善の兆しがみられ、最近では60社まで拡大している。

また生地など原材料のほとんどを中国からの輸入に頼っており、業界全体として染色等の上流工程の技術力も付ける必要がある。課題は多いが「委託加工からの脱却」をキーワードに、積極的に投資を行う地場の縫製品メーカーが増えている。

 

3. ミャンマー縫製関連の業界団体からは日本勢との連携強化の希望が強い。

日系企業の動向をみると2018年にはツヤモト社がミャンマー工業省傘下公社と合弁企業を設立。高機能繊維製品の製造を計画するなど、当初から中国勢などとの差異化が図れるBtoB向けや高機能性を重視した投資に動きだす企業もみられる。弊社でも長年付き合いが深いMGMAやMTMAなどのミャンマーの縫製協会は近年、中国や韓国との連携は強めてきたが、相対的に日本の業界団体との連携が弱くなっている、と話す。業界団体幹部たちは、自身も大手地場企業の経営者であり、日系企業との連携や技術協力を行うべく、直接の協業や関係性強化を強く望んでいる。弊社としても日本・ミャンマーの経済関係の強化のため、縫製業を重点産業の一つとして各種サービスを提供していく予定である。

(おわり)

 

 瀧波栄一郎(Director)

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