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2019年ミャンマー自動車業界レポート②

~トヨタ自動車の工場設立の影響と今後の展望~

2019.6.23

Director 瀧波 栄一郎

サマリー

1. トヨタ自動車ミャンマー設立の背景

2019年5月末にトヨタ自動車は正式に、ミャンマーで初となる自動車生産会社Toyota Myanmar Co., Ltd.(TMY)をティラワ工業団地に設立し、2021年2月より生産を開始する決定をした。これまで何度となくトヨタのミャンマー進出が噂されていたが、ついに正式決定となりミャンマーの新聞各社もトップで報じている。 改めて進出の要因を分析すると、大きく3つの経済的な要因が挙げられる…(本文に続く)

 

2.  国内新車市場の今後の展望

ミャンマーのミドル層以上から自動車の購買意欲は高い。弊社で行ったヤンゴン在住のミャンマー人への自主研究調査の結果をみる(図1)。注目すべきは、ほとんどすべての世帯層の約7~8割が今後10年以内には自動車を購入する意向がある。なお世帯収入が2,000USD以上の富裕層の約5割はすでに自動車を保有おり、買い替えニーズがある結果となっている…(本文に続く)

3.  ヤンゴンでの通勤手段(公共交通 vs 自動車)

自家用車を保有しなくとも、日本のように通勤に便利な公共交通が整備されればよいという声もある。ではヤンゴンでは将来的にいつから都市鉄道などの公共交通(地下鉄、MRT(Mass Rapid Transit、大量高速交通システム))が整備され、自動車に頼らない交通環境が完備されるのだろうか。下記、図2で改めて整理する。現在はヤンゴン環状線の鉄道が老朽化でほとんど機能しておらず、バスに一極集中している…(本文に続く)

 

4.  タイプラスワンとしてのミャンマーの位置づけ

自動車産業が集積する隣国のタイでは、自動車のサプライチェーンが築かれているが最低賃金の高騰と労働者不足によるコストアップが避けられない状況であり、域内最低水準の人件費であるミャンマーへ生産工程の一部を移すことも検討できるだろう。すでに完成車メーカーへのサプライヤーともなる企業がミャンマーに進出している(図3)。スズキ自動車が進出し、トヨタ自動車も21年から工場稼働を予定するティラワ工業団地には、コーヨーラド、ゴムナノインキ、GSユアサ、矢崎総業などがすでに入居する…(本文に続く)

 

5.(最後に)

トヨタ自動車にとっては、従前からサプライチェーンを構築してきたタイの生産拠点からミャンマーへ輸出することが経済的にはベストシナリオであったと拝察する。トヨタからしてみればミャンマーの新車市場2万台という数字は、タイの1/50の市場でしかない。トヨタ自動車にとってはミャンマーの20~30年先を見据えた長期的な投資であることが理解できる。またこれまで「トヨタの中古車が大半の国でトヨタの工場がない」という状況であったが…(本文に続く)

 

 

 

 

所得クラスに応じた自動車購買意向調査

 

JICA主導で策定されたマスタープランで計画されるヤンゴンのMRT

 

-ご利用に関して-

2019年5月のトヨタ自動車のミャンマーでのティラワ生産拠点発表を踏まえて、その背景や今後の展望を概要を記載いたしました。本レポートは信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、内容は弊社の独自の視点であり、その正確性を保証するものではありません。
ご不明点などございましたら、いつでもお問い合わせいただければ幸いです。

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