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<Vol.72 MJビジネス寄稿>一帯一路構想におけるミャンマーの重要性と近年の動向

~一帯一路は日系企業にとっての商機となるか~

2019.5.19

Director 瀧波 栄一郎

サマリー

1.  中国は一帯一路構想の下、欧米不在のミャンマー投資を加速

来年、2020年はミャンマーと中国の両国外交樹立70周年となり、一層大規模な投資案件の承認や開発が行われるだろう。中国からみると、ミャンマーは同地域において、インド洋へ進出する際に一カ国のみで通過できる唯一の国である。中国から陸路でインド洋を目指す際に国が複数国に跨ると、単純に政府間の調整で2倍の労力がかかる。単一国で通過できるミャンマーの優先度は一段高い位置づけで、既にラカイン州のチャオピューを起点に開発が進む(図1参照)。ロヒンギャ問題で欧米諸国から批判され投資が落ち込んでいる今だからこそ、中国は一層と投資拡大を急いでいるはずで、90年代から2000年代にかけて、軍事政権により欧米・日本が撤退をした際に投資・政治力を拡大した中国が再び想見される。

2.  中国は「独断的な開発国」という自国のイメージ脱却を画策

資金不足にあるミャンマー政府にとって、中国マネーはインフラ開発や経済発展に不可欠であるが、ミャンマーからみると中国は独断的な開発国のイメージが強く、一帯一路では「債務の罠」のリスクがあると認知される。ただ最近は中国も自国のイメージ改善へ向けた努力をしている。先の一帯一路会議においても習近平国家主席は、「オープンでクリーンな開発」をキーワードに透明性の高い投資を目指している。直近でも中国政府系の大手シンクタンクが弊社を訪れ、中国と一帯一路の開発がミャンマーからみてどのように思われているのか、を議題に要談がなされた。彼らはこのような調査活動をミャンマーだけでなくASEAN各国で行っているそうで、一方的・独断的な開発国のイメージを払拭し、相互に利益がある枠組みとしての一帯一路構想を強調する。弊社との議論の中でリップサービスかもしれないが、ASEAN地域においては日本との協調、特に日系企業の技術力も取り込み、共同で経済発展に貢献すべきとの発言もあった。

3.  在緬日系企業にとっての影響とは

日本から一帯一路に対して、これまでは懸念や不信感が強かったが、日系企業も本格的な事業参入の画策を開始した。例えば日立製作所は、2018年に中国のIT大手であるテンセントと戦略的な提携を交わし、一帯一路構想における案件受注に向けてテンセントと共同で参画することを表明した。日立製作所はハードとソフトの両方で強みがあり、一帯一路構想において発生する大規模インフラやスマートシティ開発を事業機会と捉えている。欧米の存在感がミャンマーを含めたASEANから薄れる中、日系企業としても一帯一路構想での案件参入に於いても商機が広がる可能性が想定できるのではないか。(終)

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